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2024.06.03
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COMMON POWERUp 2024 参加レポート

COMMON POWERUp 2024 参加レポート
COMMON POWERUp 2024 参加レポート

COMMONという団体をご存知でしょうか?
当iWorld Webでもご紹介しましたが、COMMONは世界最大のIBM i ユーザーグループであり、その歴史は60年を超えます。アメリカを本拠地としており、現在ではCOMMON Europeなど姉妹組織が世界各地に存在しています。日本でも以前IBMユーザー研究会が主催していた「iSUC」というイベントが、このCOMMONを参考にしていたのは有名な話です。

このCOMMONという団体の活動の中でも最大規模を誇るのが、年1回開催の「POWERUp」と呼ばれる対面イベントです。
今年はテキサス州フォートワースで5月20日から23日まで4日間にわたって開催されたこのイベントに、iWorld事務局も初参加してきました!
現地で感じた熱気と最新情報をお届けします。

コンベンションセンターとフォートワースの街を彩るPOWERUpのバナー

1963年ジョンFケネディ大統領がダラスで暗殺される直前に最後のスピーチを行った広場のすぐ近くに、会場となったフォートワース・コンベンションセンターがあります。外気温は日本の8月のような蒸し暑さの中、アメリカあるあるの冷房の効きまくった会場に思わず長袖を2枚重ねたものの、1100名もの参加者と300を超える技術セッション、50社近くのベンダーが出展したエキスポからなる「POWERUp」はまさに、IBM i の祭典と言える熱いイベントでした。


初日のオープニング・セッションでは、COMMONのPresidentであるDawn Mayが登壇し、COMMONの活動や前年度の優秀講師の表彰、さらに若手技術者に向けて、1年間のCOMMON教育プログラムやイベント参加が無償で受けられる「Richard C. Loeber フェローシップ」の表彰などが行われました。
続く基調講演では、IBM i 製品責任者であるDouglas Gibbs、IBM i チーフ・アーキテクトのSteve Will、PowerVSの製品責任者であるTonny Bastiaansが登壇し、IBM i のビジネス状況や製品戦略についての話をしました。

特にSteve Willからは、注目を集めるIBM i におけるAIの活用について言及がありました。その適用分野は、

  1. Db2 for i に格納されている貴重な基幹データを活用したデータ分析
  2. アクティブ・モニタリングやセルフ・ヒーリングなどのオペレーション分野
  3. 開発者がコードを読んだり書いたりするのを支援するコード・アシスト

の3分野であるとの説明があり、現在IBMではAIに学習させるため、広く一般にRPGコードの提供(Donation)を募集しているとの説明がありました。
このIBM i とAIの取り組みにつきましては、Steve Willにインタビューを実施し、詳しくお話を伺いました。インタビュー記事は近日公開の予定ですので、楽しみにお待ちください。


このAI関連の話題は非常に反響を呼び、AI関連のセッションはどれも満員という盛況ぶりでした。そしてAIと並んで注目を集めていたのが、Visual Studio CodeのプラグインであるCode for IBM i (以下Code4i)関連のセッションでした。

ご存じVSCodeはオープンソースの高機能エディターで、WindowsはもとよりMacやLinuxでも動作し、数多くの拡張機能やカスタマイズ機能によって自社に合った開発環境を整えられるといった理由から、今や多くのユーザーに利用されています。Code4iはこのVSCodeに対する拡張機能の1つで、その名が示す通りIBM i用のアプリケーション開発をVSCode上でサポートします。

現在すでに全世界で31,000ダウンロードを超えたと言われるCode4i の関連セッション数は8つほどでしたが、プレビューで公開されたばかりの「Db2 for i 」の拡張機能について、IBMロチェスター研究所の若手開発者がデモ付きで説明するセッションや、「使ってみようハンズオン研修」(とはいえ、出席者の半数以上がすでに導入済みでしたが)、さらにはロチェスター開発者が出席者に「VS Code for i にどんな機能が欲しいか?」と直接問うオープン・ディスカッションのセッションなど、今まさに旬な盛り上がりを見せていました。
今やMerlin(IBM i 統合開発環境)のIDEもEclipseからVS Codeに変更になり、勢いに乗るVS Codeですが、IBMから参加者に対し「(オープンソースであるCode4iについて)IBMによる保守サービスが必要か?」と問いかける生々しい一面もあり、今後の展開が楽しみになりました。

AIやCode4i 以外では、「システム管理」「データベース・SQL」「セキュリティ」といったトピックが人気で、それぞれの話題で30から50コマものセッションが用意されていました。これが示すのは、参加者は本当のエンドユーザーで、システム管理者、開発者ばかりであるということ。皆一様に真剣にセッションを聴講し、セッション前後に講師を捕まえて積極的に質問をしている姿が印象的でした。
講師陣も、先に述べた通り、IBM i の事業責任者やロチェスター研究所の開発者、IBM社外でもRPGやHAなどその道の第一人者ばかりなのですから、そんな人々と直接会話できるというメリットの大きさは計り知れません。会場内で18もあるセッションの各教室では、効きすぎる冷房をはねのける熱気が確かに溢れていました。

300を超える技術セッションと並ぶ、POWERUp 2024のもう一つの目玉がEXPO(展示会)です。今回もコンベンションセンターの巨大な展示ホールを使って、50近くのベンダーブースが出そろっていました。

EXPO会場の様子

EXPO会場の中央にはIBM社が出展しており、講師を担当したIBMメンバーとはここで会話をすることも可能でした。そして今回の目玉はなんといっても、5月7日に発表されたばかりのS1012の実機展示!!

オープニング・セッションでDouglas Gibbsが「飛行機の頭上荷物入れに入れて持って帰らないようにね」とジョークをとばしていましたが、2Uでラック半分の幅のS1012は本当に小さい!前面にファンとNVMe、中央にCPUとメモリー、後方にPCIeスロットと電源機構という極めてシンプルな作りで、低価格を実現するために様々なコストカットをしているとのこと。例えば、メモリーもS1014と比較して一世代古いものを採用していたり、PCIeはコンカレント・メンテナンスができないといったこともすべてコストカットの為だという話です。
シンプルな構造のぶん、エアフローもよく、騒音もS1014よりは低いと説明員の人は言っていました…これは実際に試してみないとわかりませんが、楽しみですね!

20日から23日の4日間、朝8時から夕方6時半まで、連日びっしりのスケジュールでしたが、たくさんの最新情報や多くの人々との出会いという財産を手にした参加者は、最終日の夜に近郊の西部劇風のサルーンで開催されたClosing Receptionを楽しみ、帰途につきました。

Closing Receptionにて:COMMON PresidentのFloyd DelMuro、Dawn May、Exective DirectorのManzoor Siddiqui

来る6月21日にIBM主催で開催される「IBM i World 2024」では、このCOMMONの片鱗をお伝えすべく、COMMON幹部のFloyd DelMuro、Dawn May、Manzoor Siddiquiが来日し、講演を行います。
COMMONの取り組みや日本での展開についてお話いたしますので、是非皆様ご参加ください。

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