日本アイ・ビー・エム株式会社(以下IBM)は9月上旬に、IBM Power製品の一斉値上げを発表しました。今回の発表ではハードウェアならびにソフトウェアと影響範囲が多岐にわたるため、情報を整理してお知らせいたします。
ハードウェア関連の価格改定
まず、遡ること2023年6月22日に「新価格改定ライフサイクルの発表」(〈IBM発表書簡(英文)〉Price Change(s): Price Action on Select Currencies (ibm.com))として、今後ハードウェア価格は四半期ごとに見直しするという発表があったことは記憶に新しいところです。(併せて読みたい:「IBM Power製品、Storage製品の値上げの発表」)
これは世界的な為替変動により、部品価格や製品輸送等のコストも高止まりにある状況下で、これをメーカー努力だけで吸収できる状況ではなくなっており、これまで以上に市場の動きに合わせた価格変動を取り入れることをIBMは決定し、これを四半期ごとに見直すという内容の発表でした。具体的には、四半期の二ヶ月目にIBM基準で前期の数値と比較して変動があった場合、その変動の大きさによって翌四半期開始日での価格変更を実施するというものです。例えば、10月1日付価格改定の実施判断を8月後半に実施、その内容について実施日の一ヶ月前にあたる9月1日に発表します、とアナウンスされておりました。
その結果、この10月には平均5.4%の値上げが実施されるという発表が9月1日になされたわけです。
- IBM発表書簡(英文):Price Change(s):Price Action on Select Currencies (ibm.com)
価格改定の対象となる製品は以下のとおりです。
- IBM Power10 機種およびそのフィーチャー
- IBM Power9 機種およびそのフィーチャー
- IBM 7063 Power HMC およびそのフィーチャー
- IBM 7965 Enterprise Slim Rack およびそのフィーチャー
- IBM 7316 Rack Mounted Flat Panel Console Kit およびそのフィーチャー
- IBM 5819 Power Enterprise Pools 2.0
- IBM 4586 Power Systems Elastic CoD
- IBM 9671 IBM i System Subscription
10月1日の価格改定はHW製品のみの値上げとなります。OSなどのSW製品、SWMA、Service Pacは、値上げの対象外です。
また9月1日同日にもうひとつ、来年の価格改定も発表になっています。
こちらではPower10搭載のE1080およびそのフィーチャーやEnterprise Poolなどが対象となっており、平均6%の値上げとなります。
価格改定の対象となる製品は以下のとおりです。
- IBM Power10 9080-HEX およびそのフィーチャー
- IBM 5819 Power Enterprise Pools 2.0
- IBM 4586 Power Systems Elastic CoD
これは四半期の価格改定とは別口の価格改定と考えられますので、今年12月上旬に発表されるであろう来年1月のハードウェアの価格調整も要注意です。
ソフトウェア関連の料金改定
同じく9月1日にはIBM Power SW製品、SWMAの料金改定(値上げ)も発表になりました。値上げ率は6%~10%で、効力発効日は2024年1月1日となります。
IBMソフトウェア製品ではGPH(Global Price Hamonization)と称した料金調整が毎年年初に行われており、ハードウェア管轄のソフトウェア(OSなど)もそれに倣ったものと思われます。この9月1日には、このIBM Power のソフトウェア製品群のみならず、IBM Storage管轄のソフトウェアやIBMソフトウェア管轄製品も一斉に来年1月1日の料金改定を行うことが発表されております。
今回の発表ではほぼすべてのIBM Powerソフトウェア製品が対象となり、値上げ率は大きく分けて以下の通りとなります。
- IBM i OSプロセッサー料金(SSA) , OS ユーザー料金(SSC)、AIX OS、PowerHAなどの永続ライセンスは6%の値上げ。
- IBM i OS SWMA(新規)は10%の値上げ。
- IBM i OS(SP1) , OS user(SU1)のサブスク・ライセンスは10%の値上げ。
なお、IBM i OS SWMAの更新料金は今回の料金改定の対象外となっております。
その他の価格改定
9月5日にはIBM Storage製品 XIV/DS8K/Flash/TapeとHMC他一部モデルの保守料金値上げの発表がございました。
これは、すでに保守廃止が発表された※一部の IBM 製品(機種/モデル)に対して、保守料金改定(リスト料金値上げ)を行うもので、効力発効日は9月12日からとなります。
※2023年までにEOSを迎える製品が対象
9月12日以降の見積・契約書作成、自動更新の際には新料金が適用されますが、既存契約期間中の料金変更はございません。
IBM Powerユーザーの場合、古いHMC(7042-VR7/8/9)が対象となりますので注意が必要です。
以上、IBM Powerと関連製品の価格改定についてご説明いたしました。
来年年初に向けまさに値上げラッシュとなりますので、機器入れ替えをご検討中の方は早めのご発注をお勧めいたします。
正式書簡が日本語化されていない、一般公開されていないものもございますので、詳しい情報はお取引のIBMビジネスパートナーまでお問い合わせください。