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2024.05.08
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Power10プロセッサー搭載新モデルS1012の発表

Power10プロセッサー搭載新モデルS1012の発表
Power10プロセッサー搭載新モデルS1012の発表

日本アイ・ビー・エム株式会社は2024年5月7日付で、IBM Powerの新製品「S1012 (9028-21B9)」を発表しました。

このモデルS1012は、従来IBM i の世界でローエンド機とされてきたS1014よりもさらに下のモデルとなり、 障害のないベア・メタル・スライディング・ドロワーを使用するラック・マウント構成と、Power S1014 モデルより 40% 小さい新しいタワー設計を使用するデスクサイド・マウント・オプションという、2 つの形状で提供されます。

S1012本体図

2U、ハーフラック幅の小さな筐体に、1ソケット、1コア/4コアが選択可能なPower10プロセッサーと、4基のISDIMMスロットで最大256MBのメモリーを搭載可能です(1/4コアモデルでは最大64GBまで)。このモデルでも追加の管理設定やパフォーマンスへの影響のない透過的なメモリー暗号化機能が搭載されており、Power10サーバーで搭載されたセキュリティ機能強化はこのモデルでも利用可能となっています。
また、最大 4 個の NVMe U.2 フラッシュ・ベイを搭載し、最大 6.4 TB の高速ストレージを提供します(1コアモデルでは最大3.2TBまで)。
PCIeスロットは4つ、すべてGen5対応可能となりました。
バックアップ用にはオプションで内蔵RDXメディアベイがサポートされます。

さらに最大消費電力は0.580kVAということで、S1014 の1.105kVAの約半分と省エネ設計になっている点も注目です。

1コアモデルはIBM i 専用機で、AIXやLinuxは稼働しません。また1コアモデルではVIOSサポートがありませんので、LPAR構成無し、1区画だけでIBM i を利用したい小規模ユーザーには最適なモデルとなっています。

また1コアモデルはタワー型のみ、8コアモデルはラック・マウント型のみの提供で、4コアモデルのみでタワー型/ラック型の両方が選択可能となっています。
またS1012では新規購入の場合CBUオプションも利用可能です。

なおS1012にはいくつかの制限機能があります。まずS1012ではPCIe 拡張ドロワー、NVMe 拡張ドロワー (NED24) はサポートされません。ただしSANへの接続はサポートされます。
また、S1012のPCIe スロットはコンカレント・メンテナンスをサポートしていませんので、PCIe スロットに PCIe カードを追加または取り外すには、サーバーの電源を落とす必要があります。
仮想化機能においては、以下の機能は Power S1012 ではサポートされません

  • Live Partition Mobility (LPM)
  • LPMに必要なネットワーク仮想化機能
    • Virtual Network Interface Card (vNIC)
    • Hybrid Network Virtualization (HNV)
  • メモリー仮想化機能
    • Active memory mirroring (AMM)
    • Virtual Persistent Memory (vPMEM)
S1012 SBUオプション

IBM i のSoftware Tierは1コア/4コアがP05、8コアがP10となり、いずれもサブスクリプションでの提供となります。
IBM iは、IBM i 7.5 TR4またはそれ以降 あるいは IBM i 7.4 TR10またはそれ以降がサポートされます。
また、4コア/8コアモデルではIBM i 以外のOSとして、

  • Red Hat Enterprise Linux 9.2(Power LE 以降の場合)
  • Red Hat OpenShift Container Platform 4.15またはそれ以降
  • AIX 7.2、7.3 (VIOS環境下では7.1も可)

もサポートされます。

S1012は3年の製品保証(IBM CRU & オンサイト、 9×5 翌営業日)、保守は3年/4年/5年のExpertCareで提供されます。

このS1012は2024年6月14日に出荷開始となります。

気になるのはその性能ですが、現時点で入手できた情報によると以下のような数値になると言われています。

S1012 性能表

現行のS1014の4コアモデルのCPWが106,300、S914の4コアモデルでは52,500CPWでしたので、S1012の4コアモデルはS1014の4コアより1割程度性能が落ちるようです。これはメモリーの帯域幅の違いが影響しているようです。さらに、S1012の1コアモデルは23,918CPWといわれていますので、ちょうどPOWER7搭載のモデル720 4コア相当のパワー(23,800CPW)の性能と予想されます。

とはいえ、省スペースで、Power10サーバーの特長でもあるMMAによるAI処理機能やメモリー暗号化などによるセキュリティ機能が利用可能、価格も(もちろん構成によりますが)S1014より廉価になると予想されるS1012は、「Power10ほどの処理スピードは不要」 「Power10/S1014は価格が高い」といった小規模ユーザーの方にとっては、まさに最適なサーバーと言えるのではないでしょうか?

詳細はIBMの製品発表レターをご参照ください。
「IBM Power S1012 サーバーは、IT の卓越性を追求する企業向けにコスト最適化されたパフォーマンスとスケールを提供します。」
https://www.ibm.com/docs/ja/announcements/power-s1012-server-provides-cost-optimized-performance-businesses-in-pursuit-it-excellence

さらに同じく2024年5月7日付で、IBM i 7.5 TR4 やIBM i 7.4 TR10、シングル・ノードOpenShiftで構成可能なIBM Merlinの新しいバージョン、S1012をサポートする新しいPowerVM/PowerVC/vHMC/CMCなどが発表になっています。また、IBM i OSの一部機能やIBM Rational Developer for i 9.6のサポート終了も発表になりました。こちらは後日改めて詳細をご案内いたします。

「IBM は、 IBM i 7.5 Technology Refresh 4 で新機能と機能拡張を追加します。」
https://www.ibm.com/docs/ja/announcements/i-75-tr4

「IBM は、 IBM i 7.4 Technology Refresh 10 で新機能と機能拡張を追加します。」
https://www.ibm.com/docs/ja/announcements/i-74-tr10

「IBM は、 IBM i Modernization Engine for Lifecycle Integration (Merlin) 2.0.0 を使用してソフトウェア・モダナイゼーション機能を拡張します。」
https://www.ibm.com/docs/ja/announcements/i-modernization-engine-lifecycle-integration-merlin-20

「プラットフォームの機能拡張: IBM PowerVC for Private Cloud 2.2.1、 IBM Cloud Management Console 1.21、 IBM Power Hardware Management Console V10R3M1060、およびファームウェア FW1060」
https://www.ibm.com/docs/ja/announcements/platform-enhancements-powervm-powervc-vhmc-cmc

「ソフトウェアの営業活動終了およびサポート終了: IBM i Modernization Engine for Lifecycle Integration (Merlin) 1.0.0、 IBM Rational Developer for i 9.6、および IBM i ポートフォリオのその他の一部の機能」
https://www.ibm.com/docs/ja/announcements/end-marketing-end-support-i-merlin-10-rdi-96-selected-i-functions

「AIX 機能拡張: IBM AIX 7 Enterprise Edition 1.11、 IBM Private Cloud Edition 1.11、 IBM Private Cloud Edition with AIX 1.11、 IBM PowerSC 2.2 更新、 IBM VM Recovery Manager HA/DR 1.8、 および IBM PowerHA 7.2.8 の更新」
https://www.ibm.com/docs/ja/announcements/aix-enhancements-aix-seee-private-cloud-powersc-vmrm

「IBM Power10 Hardware 9028-21B サーバー用の IBM Power Expert Care、コミット済み保守、リモート・サポートと部品、および ServicePac オプション」
https://www.ibm.com/docs/ja/announcements/power-expert-care-committed-maintenance-remote-support-parts-servicepac-options-power10-hardware-9028-21b-server

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